社会は頑張って異性愛者を育んでいる 同性愛は先天的か後天的かの議論を超えて(wezzy掲載記事)

「いつ自分が〇〇だって気づいたの?」「いつ目覚めたの?」

LGBT やクィアな私たちはよくこの無邪気な質問を受けます。〇〇には「レズビアン」「バイ」「同性愛者」「そっち」「オネエ」「ゲイ」など色々なものが入りますが、その都度私たちのほとんどは答えに窮します。なぜなら、ほとんどの場合私たちは気がついたらなっていた以外の答えを持っていないからです。

だから私たちは時に、答える代わりに質問で返すことがあります。

「じゃあ、あなたはいつ自分が異性愛者/ストレートだと気づいたの?」と。

こう問い返された異性愛者は、どのように反応するのでしょうか。「そうか、自分が気がついたら異性愛者だったように、この人も気がついたらそうだったんだな」と思うかもしれません。もしくは「なぜそんなことを聞かれなくてはいけないんだ、異性愛者になるのは当たり前じゃないか。何か目覚めるきっかけや気づくきっかけがなかったら普通は異性愛者なんだよ」と憤るかもしれません。

一見、この二つの反応は全く異なります。前者は、同性愛や両性愛が異性愛と同じように自然なものなのかもしれないという気づきです。一方後者は、異性愛は自然だが同性愛や両性愛は不自然なものであるという考え方です。

当然私たちは、前者の反応を期待しています。

「なんだ、あなたたちも同じ自然な性的欲望の持ち主だったんだね」

「そうなんだよ、あなたたちと何も変わらない対等な人間なんだ」

一件落着。めでたしめでたし。

……でしょうか。何かひとつだけ、全く問われていないものがありはしないでしょうか。

そう、ここでは「異性愛は自然だ」という仮説があたかも当然の前提のように全員に信じ込まれています。しかしそれは本当でしょうか。そもそも私たちは、社会全体でかなり頑張って異性愛者の育成に励んでいるとは言えないでしょうか。

Photo by zhouxuan12345678 from Flickr

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マサキチトセ Written by:

1985年5月26日生まれ。栃木県足利市出身、ニュージーランドとアメリカを経て現在は群馬県館林市在住。趣味はイラストと音楽制作。 2011年にシカゴ大学大学院社会科学修士課程を中退。以降ジェンダー・セクシュアリティを中心に執筆や講演など評論活動をしています。 LGBT運動と排外主義のかかわり、資本主義とLGBT、貧困二世・三世のLGBT/クィア、性的欲望に関する社会的言説の歴史、セックスワーカーの権利と尊厳などに特に関心があります。