ジョージア・ストレート誌(チャーリー・スミス)・2015年7月24日
同意のある成人同士間のセックスの売買を犯罪とすることに反対するという計画を出した、世界有数の人権団体が炎上している。
アムネスティ・インターナショナルはこの計画を「成人同士間の同意のある性的行為——これは強制や嘘、脅迫や暴力を伴う行為を含まない——は国家の介入から守られるべきであるとの人権の理念に基づいている」としている。
同団体は、犯罪化がセックスワーカーにとってのリスクを増大させる例を多数引用している。「バンクーバー及びニューヨーク市における街娼に対する嫌がらせ、暴行、強姦、誘拐、そして殺人のほとんどは、警察に通報されていない」ということを示す二つの研究結果もそれに含まれる。
この新しい方針の計画には「強制売春をさせるための人身取引は国際法上犯罪化されるべきであるという、これまで長きにわたってアムネスティ・インターナショナルが採用してきた立場がこの方針によって変わることはない」とあり、また「商業的性行為に関与している子どもは性的搾取の被害者であると当団体は認識しており、国際人権法に基づき支援、補償、救済を受ける権利を持つと考える」とも書いてある。
この団体の同意のある成人のセックスの売買についての対策(訳者注:この計画のこと)は、400を超える団体及び個人からの抗議文を受けることになった。
署名者にはメリル・ストリープ、ケイト・ウィンスレット、アン・ハサウェイ、アンジェラ・バセット、ケビン・クライン、エマ・トンプソン、リサ・クドロウ、レナ・ダナム、キアラ・セジウィック、そして映画監督のジョナサン・デムなどがいる。
「性取引の非犯罪化は売春宿のオーナーを『ビジネスマン』に変えてしまう。そしてそのビジネスマンたちは、さらに増加する売春への要望に応えるために、東欧やグローバス・サウス(訳者注:南半球の発展途上国の総称)のより貧困な国々を中心に非常に若い女性を人身取引しても免責されるのだ」と、抗議文にはある。
アムネスティ・インターナショナルの計画は「国際人権法に抵触しない限り、セックスワークに法的規制がかかることはあってもよい」としている。
さらにこうもある。「この計画は、ハーム・リダクション(訳者注:ハームとは痛みのこと、リダクションは減らすこと、つまり現状において人々が受けている被害を現実として受け止め、いかにその被害による痛みを減らすかという観点)の理念に基づいている。世に出ている証拠群が全体として示しているのは、セックスワークを犯罪とすることがこうした活動に従事する人々への差別をより強化する方向に働く可能性が高いこと、警察によるものを含め、嫌がらせや暴力に晒される危険性を高める可能性が高いこと、そして正当な法の手続きを受けられなかったり、医療サービスや住居支援、教育、そして移民としての立場などの公的な恩恵から排除されることになる可能性が高いことである。」
この計画は来月南アフリカのダーバンで行われるアムネスティ・インターナショナル理事会で審議される予定だ。
一方、世界保健機構(WHO)は各国に「セックスワークの非犯罪化、そしてセックスワーカーに対する民法や規制の不当な適用を廃絶すること」を呼びかけてきた。
アムネスティ・インターナショナルは、セックスワークが規制されるべきかどうかについて明確な立場を出してはいない。
計画においては、「しかし、ある国家がセックスワークを規制したとして、アムネスティ・インターナショナルは、個人がセックスワークに自らの意志で安全な状況下で従事することができ、セックスワークに従事することを辞めたい場合・時にはそうできることを保証するような規制であるように要請するつもりである」としている。
原文筆者について
Charlie Smith(チャーリー・スミス)
@cmsmithstraight
翻訳について
この文章は、上記原文筆者が執筆し、上記日付にジョーシア・ストレート誌オンライン版に掲載された Amnesty International faces backlash from Hollywood celebrities for proposing new policy on sex work を、マサキチトセが2015年7月27日に日本語に翻訳したものである。なお翻訳は推敲を経ておらず、原文との完全一致を保証するものではない。
なお、2014年2月時点でリークされていたアムネスティ・インターナショナルによる関連文書の翻訳を含め、当ブログのセックスワーク関連記事も参考にされたい。
画像について
原文に掲載されていた画像を転載している。
キャプションは「アン・ハサウェイは、アムネスティ・インターナショナルへの抗議文に署名した一人である」。
オリジナルは MINGLE MEDIATV による。