夜に働く人を排除しない社会運動・アカデミアがいいよね

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2022年11月20日

世の中の多くのシンポジウムだのワークショップだの読書会だのは、たいてい土曜の夕方とか、平日の夕方以降に開催されてる。開催する側としても「開催する曜日と時間帯はどうするか」を考えるにあたってできるだけ多くの人が参加できるようにしたいと思っているだろうと思うのだけれど、その「多くの人」の母数にそもそも入っていない人っているよねと思うの。

夜の仕事は(種類がいろいろあるのでまちまちだけど)たいてい午後8時くらいには始まるので、出勤準備を考えたら午後6時前にはもう他のことはできなくなる。場合によっては化粧やヘアメイクも必要だから更に早まることもある。

終わるのは12時以降、へたしたら午前3時とかなので、それから動けても何も開催されてない。この時間には移動手段も限られてる。夜の仕事はたいてい土曜が休みではないので、土曜も同じサイクルになる。

となると、どこかに出かけて2時間3時間過ごすことができるのは、出勤日の午後5時くらいまでと、休みの日の午後以降。家族がいれば(ましてやシングルマザーなら)休みの日に出かけるのはさらに難しくなるだろう。いずれにしても睡眠のサイクルを崩して参加することになる。

マイノリティーに関する(ましてや労働者や女性に関する)シンポジウムやワークショップを開催するのなら、平日の朝から夕方まで働くというのがスタンダードだという社会を追従せず、もっと工夫が必要だと思う。

イベントで登壇する大学の常勤の先生とかNPOの偉い人とかにとっては問題ないのだろうと思うけど、バイトしてる院生とか、長距離移動ばかりの非常勤講師とか、アカデミアの中だって「その時間は行けねえよ」と思ってる人たちはたくさんいるだろうと思う。ましてやアカデミアの外にいる人たち、特に残業前提の職場にいたり夜勤だったり昼夜交代制だったり、水商売やセックスワークの仕事をしてる人たちにとっては、それこそ「笑っちゃうほど全く行けるわけのない時間帯」のイベントが数え切れないほどある。マジで。

私個人的には、日曜の午後1時くらいからのイベントなら行ける。行けない時もあるけど。みんなそれぞれ違うと思うけどさ。

イベントのターゲットが誰なのか、誰に来て欲しいのかというのはイベントごとに違うだろうけど、こうも「笑っちゃうほど全く行けるわけのない時間帯」のイベントばかりだと、ちょっとおかしくない?ダメじゃない?と思えてくる。個々のイベントがどうというより、傾向として、平日昼間働いてる人をターゲットにしたイベントが多すぎじゃない?

(あと、子育てしてる人が行けるイベント少ないよね。)

私が関わってきたイベントにも、そういう点において不十分なものがたくさんあった。どうしたらいいのか、どうやっても正解なんてないと思うけど、少しでも「スタンダード」から外れる人が参加しやすいイベント作りを心がけたいなと思う。

ABOUTこの記事をかいた人

1985年5月26日生まれ。栃木県足利市出身、ニュージーランドとアメリカを経て現在は群馬県館林市在住。2011年にシカゴ大学大学院社会科学修士課程を中退。以降ジェンダー・セクシュアリティを中心に執筆や講演など評論活動をしています。 LGBT運動と排外主義のかかわり、資本主義とLGBT、貧困二世・三世のLGBT/クィア、性的欲望に関する社会的言説の歴史、セックスワーカーの権利と尊厳などに特に関心があります。