喰われノンケについての曲を作りました

久しぶりに曲を作る気持ちになって、今年の頭から少しずつ作りました。テーマは「異性愛の同級生を好きになってしまったゲイ男子が、相手に性的に利用されることになってしまった」という、ゲイ男性のあいだでは珍しくない、あるある話です。いわゆる「喰われノンケ」ってやつですね。

ゲイの掲示板を見ると「ノンケです」って書いてる書き込みがたくさんあるし、わざわざノンケですって言わない人も当然いる、っていうかその方が多いだろうから、きっと世の中で思われているよりもたくさんのノンケ男性が今日も男性と出会ってセックスしていることでしょう。ゲイの子と出会ってホテルに着いたら開口一番「ノンケさんですか?」と聞かれたことも何度もあります。ゲイ男性の間では、「ノンケの中には男とセックスする人もいる」なんてのは常識になっている模様。

そんな「喰われノンケ」たちですが、バイセクシュアルじゃないの? と思いますよね。私もそうだと思ってたんですが、どうやら「恋愛対象は女性だけど性的対象はどっちも」って人がとても多いみたいです。私は「恋愛対象は男性のみ、性的対象はどっちも(※男性は生身、女性はフィクションのみ)」なので、ちょうど逆って感じですね。セクシュアリティって、不思議ね。

そして、中にはそんな喰われノンケに出会って恋をしてしまうゲイ男性もいるわけです。私も経験あります。同じ学校に通ってた子とか。相手はそれまでノンケとして生きてきて、その後もノンケとして生きてるから、秘密にしておいてあげてるけどね。今は「そんなこともあったなあ、うふふ」って思えますけど、当時は結構精神的にキツい日々でした。そんな記憶をたぐり寄せて、『君じゃない誰かに会いたい』という曲を作りました。

よかったら聴いてね。
(これまでの他の曲はこちらから聴けます

歌詞

ひとりじゃない そんなことは分かってるけど
いつものようには もう笑えない
君のピアス 片方だけ僕にくれないか
大丈夫 卒業までは着けないでおくよ
僕の恋心も 君の欲望も
大丈夫 誰にも言わないでおくよ

僕らは昨日も今日も明日も
それぞれに愚かな理由で待ち合わせる
楽しい時間 苦しい時間
会いたいよ 君じゃない誰かに

どうしてこんな風に生まれちまったんだろう僕は
傷だらけの人生だって 決まってるようなもんじゃない
好きな物を嫌いと言って嫌いな物を好きと言って
ごまかしながら 嘘つきながら 死んだような生き方
「ひとりじゃない」なんて言うけど
今僕はここでひとり

群れを成した傷一つない美しい白鳥に
囲まれたアヒルのよう
手を繋ぐこと それさえも許されない運命
大丈夫 君に触れることができるだけで
僕は満足さ きっとそれでいい
大丈夫 多分しばらくは大丈夫

結論なんてもう望まないでおくよ
悲しみさえこんなに手放せないなんて
楽しい時間 苦しい時間
会いたいよ 君じゃない誰かに

僕らのこの関係は誰にも知られちゃいけない
愛してても 触れ合ってても 呼び合う言葉は無い
この広い世界には僕と同じような人がいくらでもいるって
テレビもインスタもそう言うけれど 君じゃなきゃダメだから
繋がったまま 飛行機か何かが
僕らに落ちてしまえばいい

僕の気持ち 本当は分かっているでしょう
分かった上で それでも利用してるんでしょう

どうしてこんな風に生まれちまったんだろう僕は
傷だらけの人生だって 決まってるようなもんじゃない
好きな物を嫌いと言って嫌いな物を好きと言って
ごまかしながら 嘘つきながら 死んだような生き方

僕らのこの関係は誰にも知られちゃいけない
愛してても 触れ合ってても 呼び合う言葉は無い
この広い世界には僕と同じような人がいくらでもいるって
テレビもインスタもそう言うけれど 君じゃなきゃダメだから
「ひとりじゃない」なんて言うけど
今僕はここでひとり

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ABOUTこの記事をかいた人

1985年5月26日生まれ。栃木県足利市出身、ニュージーランドとアメリカを経て現在は群馬県館林市在住。2011年にシカゴ大学大学院社会科学修士課程を中退。以降ジェンダー・セクシュアリティを中心に執筆や講演など評論活動をしています。 LGBT運動と排外主義のかかわり、資本主義とLGBT、貧困二世・三世のLGBT/クィア、性的欲望に関する社会的言説の歴史、セックスワーカーの権利と尊厳などに特に関心があります。