マサキチトセのニュースレター第2号(2018年8月28日)

人の声を勝手に代弁することがいかにダメなことか、ゆるふわな方のブログで以前ゆるっとふわっと書きましたが(舞い散る喪ゲイ『土俵際の南浦和』)、先日は「活動家はLGBTの代表ヅラするな」といったことを主張するゲイ男性が「日本は差別のない素晴らしい国」みたいなことをツイッターで言っていましたね。

「ない」って言っちゃえるあたりにLGBT代表ヅラが感じ取れて、そういえば高田純次も「歳をとったら自慢話と説教と昔話はしちゃいけない。その点ボクなんかは〜」と自慢話をして笑いを取ったと聞いたことがあります。両者ともに、面白い人ですね。このゲイ男性も、高田純次のように無害なオチなら良かったのにな。

というわけで、1ヶ月半くらいあいてしまいましたが、ニュースレター第2号です。あまり長い記事にすると次の更新も遅くなりそうだから、今回はさくっと書けたらなと思います。


このニュースレターでは、ジェンダーやセクシュアリティを中心に、私マサキがニュースやトピックをピックアップしてお届けします。つまり「あなたとシェアしたいな」と思うものを自分の感想とともにお伝えする内容です。
※ 私マサキの最新の文章や動画、イラストなどへのご案内も各号の末尾に載せています。
※ 更新は不定期です。

News & Topics

自民党の杉田水脈議員の差別発言

『新潮45』2018年8月号に掲載された杉田水脈さんの文章「『LGBT』支援の度が過ぎる」が大きく炎上しました。「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」という部分が特に大きく話題となり、同様の発言をしている過去の動画も改めて衆目に晒されました。

これを受け、約5000人といわれる市民が抗議活動を行い、尾辻かな子議員研究者のロバート・キャンベル氏なども反論を公表しています。荻上チキさんも、杉田水脈の文章の問題点をラジオ番組で1つ1つ指摘しました。

杉田水脈が披露している主張は論理的にも破綻しており、また彼女の主張の背景にある知識も事実誤認や決めつけだらけです。その点を、特に教育に関する部分を取り上げ、動画で詳しく説明しました。

杉田水脈の問題は海外でも大きく取り上げられ、私も取材を受けました。(Speak Out! Japan’s LGBTQ+ Community Responds to Politician Sugita’s Discriminatory Statements

また、畑野とまとさんは、杉田水脈という個人の責任に矮小化するのではなく、自民党の体質そのものへの疑義を唱えています。遠藤まめたさんも、「自民党の理解促進とは、表向きでは21世紀の先進国のふりをして、裏ではヘイトスピーチでガス抜きさせるような、恥ずべきものなのだろうか」と厳しく批判しています。

こういった批判の背景には、差別的な言葉に傷つけられた当事者や周囲の人々の存在があることも忘れてはいけません。そもそもなぜ杉田水脈のような人間に、私たちは大きく傷つけられるのでしょうか。note のコラムで、そのことについて詳しく書きました。

杉田水脈の差別発言と、セクマイの自己肯定感 #ThisIsPRIDE

東京医科大学の女性差別的な不正操作

女子受験者の合格者数を少なく抑えるために、東京医科大学が入学試験の点数を不当に操作していたことがわかりました。具体的には、小論文の点数を全員0.8倍し、現役受験の男子、1浪の男子、2浪の男子には20点の加点、3浪の男子には10点の加点をしていたそうです。4浪以上の男子、および全ての女子は、0.8倍された(80%に減点された)点数で合否が決まるという状況でした。

これに対してSNSのみならずマスメディアでも多くの批判が国内外でなされ、特にRachel & Jun というユーチューブチャンネルの動画によってこの問題に対する怒りの声が英語でも幅広く拡散されました。現在は第三者委員会による調査が予定されています(10月に報告がなされるそうです)。

女性差別であることがこれほどに明らかなケースもないのではないかと思うのですが、それでも「しかたない」「そういうもの」「出産・育児で辞める女性が多いのが悪い」などの声も上がっていることに驚きます。

さらに同大学の入試では適性試験というのがあり、そこでは同性愛傾向があるかを測るMMPIという心理テストが使われていたことがわかりました

女性が教育を受ける機会を不当に奪われている事例は、東京医科大学に限った話ではありません。他の医大でも不正操作が行われていると指摘する人もいますし、そもそも公立の小中学校の段階から、教員や保護者などの言動によって多くの女子が学習意欲を削がれたり、進学をあきらめさせられたりしています。

中学の時、数学の点数が下がったことがありました。数学教師に呼び出され、「がんばれ」とでも言われるのかと思っていたら、「お前、女子に負けてるぞ」と言われました。これまで私より数学の点数が良いのは皆男子だったらしいのですが、この時は女子が1名私よりも点数が高かったそうです。正直何が言いたいのかわからず、「はぁ」としか答えられませんでした。今思えばきっと、「女に負けたくない」一心でより一層私が数学を勉強するだろうと踏んでいたのだろうと思います。そうやって私は、彼から数学だけではなく、女性差別をも教わることになったのでしょう。

私よりも高得点をとった女子生徒には、なんて言ったんだろう——何も言わなかった? 良くやったなと褒めた? 女が数学できても意味ないと言った? 私には「女子に負けてるぞ」って言うことでやる気を出させておいて、一方でその女子には「良くやったな、次はもっと上位を目指そうな」って、二枚舌ではあるけれど、言っていたと願いたいです。

同性愛を公表している女性が青森市議選出馬

今年10月の青森市議選に、同性愛を公表して社会運動を行なっている岡田実穂さんが出馬することになりました

岡田実穂(おかだみほ)活動録
岡田実穂(おかだみほ)と青森に希望をつくる会 TwitterFacebook

岡田さんには、以前私の音声生配信『エロくない性の話』に出演していただいたことがあります。LGBTIQと性暴力をメインに、活動の内容や方針についてお話しいただきました。

前回のニュースレターでご紹介した青森レインボーパレードの主催者でもあります。

LGBTQ+のこと、性暴力のこと、セックスワークのことなど、様々な問題について深く考え、行動を起こしている人です。私マサキも、彼女の活動には全幅の信頼を寄せています。青森市に住んでいる方はもちろん、そうでない方々もぜひ岡田さんに注目してください。

マサキのおすすめ書籍&映画&etc.

クィアなキャラクターが出てくる映画や、興味深い本などを紹介します。
(このニュースレター内のリンクから飛んで購入すると、その一部が私に還元されるようになっています)

遠藤まめた『オレは絶対にワタシじゃない――トランスジェンダー逆襲の記』

若者支援などを長年やってきた遠藤まめたさんが、「トランスジェンダーとして生きていたこれまでの経験や、何も持たない18歳の頃から活動を始めて十年少し、どんなことがあったかを書いているエッセイ」を出版しました。

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SWASH編『セックスワーク・スタディーズ——当事者視点で考える性と労働』

SWASHとは、Sex Work and Sexual Health の略。「主にセックスワーカーとして働く人たちが安全・健康に働けることを目指して活動しているグループ」です。

その SWASH が編集をして、セックスワーカーの権利や尊厳のために活動してきた著者たちによる文章が集まった本です。まだ手に取っていませんが、要友紀子さん宇佐美翔子さんブブ・ド・ラ・マドレーヌさん畑野とまとさん、青山薫さん、岡田実穂さんなど、私が個人的に信頼している人たちが名を連ねており、多くのことが学べると確信しています。

以下が目次です。

はじめに

第0章 セックスワークという言葉を獲得するまで
―1990年代当事者活動のスケッチ/ブブ・ド・ラ・マドレーヌ

▼第1部 社会の中のセックスワーク
第1章 誰が問いを立てるのか
―セックスワーク問題のリテラシー/要友紀子

第2章 セックスワーカーとは誰のことか
―社会の想定からこぼれるワーカーたち/宇佐美翔子

第3章 なぜ「性」は語りにくいのか
―近代の成り立ちとセックスワーク/山田創平

第4章 法規制は誰のためにあるのか
―セックスワークをめぐる法の歴史と現在/松沢呉一

コラム トランスジェンダーとセックスワーク/畑野とまと

▼第2部 セックスワーカーの権利を守るには
第5章 性の健康と権利とは何か
―権利主体としてのセックスワーカー/東優子

第6章 セックスワーカーへの暴力をどう防ぐか
―各国の法体系と当事者中心のアプローチ/青山薫

第7章 どうすれば安全に働けるか
―セックスワーカーの労働相談と犯罪被害/要友紀子

コラム ウリ専経営者から見える業界の今とこれから/篠原久作

▼第3部 セックスワーカーとの関わりかた
第8章 合意とは何か―性が暴力となるとき/岡田実穂

第9章 当事者とどう向きあうか
―セックスワーカーと表現/げいまきまき

第10章 セックスワーカーにどう伴走するか
―当事者による経験の意味づけ/宮田りりぃ

コラム 児童自立支援施設からの報告/あかたちかこ

▼付録
用語集
日本の性風俗年表
日本の性風俗産業の構成
SWASH WEB資料案内
おわりに

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※執筆等に伴う写真・動画・イラストの制作もお請けいたします。
※翻訳や英会話レッスンは致しません。

マサキチトセ Written by:

評論家・ライター・イラストレーター・動画クリエイター。1985年生まれ。栃木出身、NZとUSを経て現在は群馬在住。シカゴ大学大学院修士課程中退。ジェンダー・セクシュアリティを中心に執筆や講演など評論活動をしています🏳️‍🌈 性暴力サバイバー。