『社会問題を語る際に必要な英語表現』第1回

YouTube チャンネルで Social Justice English という新シリーズをはじめました。差別や偏見などの社会正義の問題を語るときに知っておくと便利な言葉を紹介するコーナーです。

主に社会運動に携わる活動家や、研究者、英語で自分のことを話せるようになりたい当事者など向けに、国際会議や学会、その他文化横断的なイベントなどで使える表現をいろいろ集めているところです。

動画は中上級者向けのものとなっており、ほぼすべて英語で話しています。字幕もありますが英語字幕です。ブログでは、その連動企画として日本語で同じ内容を解説していきます。(この記事の最後に動画も載せていますので、英語で聴きたい人はぜひ再生してみてください。)

第1回ということで、今回は marginalized, prejudice, problematic, unacceptable という「社会正義に照らし合わせたらダメなもの」をいくつか紹介します。

marginalized

margin とは、端っこのスペース、たとえば余白のことです。ワープロソフトなんかで印刷レイアウトにするとフチにある余白ですね。社会正義の文脈だと、marginalized というのは「社会の中心から追いやられて端っこにいる状態」を指します。つまり「マイノリティである」ということです。

障害がある人や女性、同性愛者、トランスジェンダーの人、セックスワーカーなんかは marginalized だと言えるでしょう。

日本語では marginalized を訳すときに「周縁化されている」と表現することが多いです。

例文
In the sexual hierarchy, both transgender people and sex workers are marginalized.
(性のヒエラルキーにおいて、トランスジェンダーの人々とセックスワーカーはどちらも周縁化されています。)

prejudice

prejudice は「偏見」という意味です。よく知らない人々について、事前に持っているイメージのようなものですね。

例文
There is a prejudice against sex workers that they can’t be raped.
(セックスワーカーに対して、彼ら彼女らはレイプされるなんてことはないという偏見があります。)

“can’t be raped” という表現はそのまま「レイプされることがない」という意味ではなく、「セックスワーカーはセックスに同意してそれを仕事にしてるんだから、何をされてもそれはレイプとは言えない」という意味を持ちます。

しかし実際はセックスワーカーもレイプされます。同意していない行為を強要されれば、それは職業に関係なくレイプだからです。

problematic

problem は「問題」という名詞ですが、problematic は「問題がある」という形容詞です。なので、 “a problematic approach”(問題のあるアプローチ)とか “a problematic law”(問題のある法律)という表現ができます。また、”This book is problematic.” と言えば、「この本には問題がある」という意味になります。

例文
Punishing clients is a problematic idea and ultimately harms sex workers.
(顧客を罰するというのは問題のある考え方で、結局セックスワーカーを痛めつけてしまうことになります。)

unacceptable

un- は否定を表します。accept は「受け入れる」という意味の動詞です。-able は「〜できる」という意味です。つまり acceptable は「受け入れることができるような」という意味で、その反対に unacceptable は「受け入れられない」とか「許されない」とかの意味になります。

例文
Banning transgender people from using the bathrooms that match their gender identities is unacceptable.
(トランスジェンダーの人々が性自認に合ったトイレを使うことを禁止するなんて、許されないことです。)

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第1回の内容は以上です。

ほかにも思いつく先からどんどんたくさん色んな表現をメモってますので、第2回、第3回と楽しみにしていてください。

「こういうことを言いたいけど英語でなんて言えばいいの?」などの質問やリクエストも受け付けます。コメント、ツイッター、インスタなど連絡手段は問いませんので気軽に送ってください。

2018.12.12 追記:「〜という文を例文にしてください」というリクエストはお受けできません。

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ABOUTこの記事をかいた人

1985年5月26日生まれ。栃木県足利市出身、ニュージーランドとアメリカを経て現在は群馬県館林市在住。趣味はイラストと音楽制作。 2011年にシカゴ大学大学院社会科学修士課程を中退。以降ジェンダー・セクシュアリティを中心に執筆や講演など評論活動をしています。 LGBT運動と排外主義のかかわり、資本主義とLGBT、貧困二世・三世のLGBT/クィア、性的欲望に関する社会的言説の歴史、セックスワーカーの権利と尊厳などに特に関心があります。